北海道の川辺に転がっている、ごくありふれた黒っぽい石ころ。そんな目立たない石の中に、実は世界で誰も知らなかった「名もなき新鉱物」が隠れていました。

2024年に新種として認められた鉱物、「章司閃石(しょうじせんせき / Shojiite)」を巡る、地味だけどワクワクする発見のお話です。

🪨 川底の「ただの黒い石」に隠された秘密

北海道士別市

舞台は北海道士別市(しべつし)の山あいを流れる、マムシノサワ沢という小さな川。そこで採取された大きな岩の塊に、その鉱物は含まれていました。

見た目はどこにでもある普通の「角閃石(かくせんせき)」。角閃石自体は日本中の岩石によく混ざっている黒っぽくて地味な鉱物です。最初は研究者の間でも「よくある種類の一つだろう」と思われていました。

ところが、電子顕微鏡などの最新機器で成分をミリ単位以下まで細かく分析したところ、驚きの事実が判明します。世界のどの鉱物のデータにも当てはまらない、まったく新しい化学組成を持っていたのです。

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スタッフ

でましたね✨️ただの石ころにみえる「新鉱物✨️」

🌟 なぜそんな珍しい石が生まれたのか?

この石が見つかった場所周辺には、「幌加内(ほろかない)オフィオライト」と呼ばれる特別な地層が広がっています。

オフィオライトとは、大昔のプレート運動によって「海の底や地球の奥深く(マントル)にあった岩石が、地表までググッと押し上げられた場所」のこと。いわば、普段は見られない地球の奥底のサンプルがむき出しになっている天然の実験室です。

章司閃石は、はるか昔に地下深くの超高圧・高温の環境で、地下水のような熱い流体が岩石の成分をつくり変える現象(交代作用)によって生まれたと考えられています。

Information

『幌加内オフィオライト』

🔗サイトURL

https://mak-kawa.sakura.ne.jp/My_HokGeol100select/contents/023_horokanai.html

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スタッフ

👆️こちらのサイトの写真を見てみてください📸
まさに剥き出しの標本!実際に見てみたくなりますね✨️

🤵「章司閃石」という名前の由来

この大発見を受け、国際鉱物学連合(IMA)は2024年に正式な新鉱物として承認しました。

名前の由来となったのは、日本のマントル研究や岩石学の第一人者である荒井章司(あらい しょうじ)氏。長年、地球の奥底の石を研究し続けてきた功績を讃え、「章司閃石」と名付けられました。

現在、この発見の証拠となる貴重な標本(タイプ標本)は、東京の上野にある国立科学博物館と、地元の士別市博物館に大切に保管されています。

国立科学博物館

🧩 宝石にはならなくても、地球の暗号を解くピース

章司閃石は、キラキラ輝くダイヤモンドやルビーのように宝石になる石ではありません。透明感もなく、商業的なお値段をつければゼロに近いかもしれません。

でも、この発見の面白さはそこにあります。

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スタッフ

「ただの川原の石ころ」に見えるものの中にも、まだ人類が出会っていない地球の歴史が静かに眠っている。足元に転がっている石をルーペで覗いてみたくなるような、地学のロマンがぎゅっと詰まった鉱物ですね✨️

参考:Hamada et al. (2025) IMA 2024-023a、CNMNC Newsletter 87、荒井章司 researchmap