つぶやき
スタッフ

「月の石」と聞くと皆さんは何を思い浮かべますか?

小学生の頃に「ポケットモンスター」のゲームで遊んでいた私は、そのゲームの中に登場する「つきのいし」を思い浮かべます。

特別な進化のために必要なその「つきのいし」は、冒険の途中で入手することができるのですが、今回紹介する「月の石」は、名前の通り”月で見つかった石”。

そしてその石から、なんと地球には存在しない新しい鉱物が発見されたんです!

地球に届いた、1,731グラムの奇跡

中国新闻社, CC BY 4.0 https://creativecommons.org/licenses/by/4.0, via Wikimedia Commons

2022年に中国の研究チームによって月のサンプルから発見された新鉱物「嫦娥石(Changesite-(Y))」。そしてその後さらに2026年4月に「マグネシウム嫦娥石、セリウム・マグネシウム嫦娥石」が発見されました。

先に発見された「嫦娥石(Changesite-(Y))」は、2020年12月、中国の無人探査機「嫦娥5号」が月面から採取したサンプルの中から発見されました。

わずか1,731グラムの月の土の中からです。

髪の毛の1/30、見えない結晶の正体

中国の地質研究院の李梓英氏らのチームが、サンプルの中の微粒子を一つずつ調べる中で、これまで知られていたどの鉱物とも一致しない結晶を見つけ出しました。

結晶のサイズは直径2〜30マイクロメートル。

なんと髪の毛の太さの1/30から1/3程度です。

見た目はただの灰色の粉にしか見えないのですが、レーザーや電子顕微鏡による解析で初めて、その結晶構造が「地球には存在しない新種だ」ということが判明。

月特有のマグマ活動や環境下で形成されたと考えられており、そのため地球上には対応する鉱物が確認されておりません。

月の女神の名を持つ鉱物

その結晶は、2026年4月24日「中国宇宙の日」の式典で、国際鉱物学連合(IMA)承認済みの新鉱物として正式に発表されています。

同じ発表では、さらに「マグネシウム嫦娥石、セリウム・マグネシウム嫦娥石」も同時に承認されました。

月で新たに発見された鉱物には「嫦娥石(チャンガーサイト)」という同じ名前がついていますが名前の由来も気になりませんか?

「Changesite」は、中国神話の月の女神「嫦娥(チャンガー)」に由来します。

月に住むとされる女神の名が、実際に月で見つかった鉱物に冠された形です。

鉱物の命名は通常、産地・発見者・構成元素のいずれかによりますが、この鉱物は神話と科学が重なった稀なケースです。

宇宙が広げる、鉱物の可能性

中国による月新鉱物の発見はこれで3種目となり、世界の月サンプル由来の新鉱物は合計8種目となりました。

他の記事で紹介した火星で見つかったコランダムも当てはまりますが、宇宙の鉱物は、地球の常識では説明できない条件で誕生します。

月で発見された新鉱物はまだ誰も見たことのない組成と構造を持ち、宇宙のどこかに未知の鉱物が存在する可能性を示しています。

遠い星に存在する未知の鉱物に思いを馳せるのもなんだか楽しいですね。