廃棄宝石定期便をご利用くださるお客様から、「廃棄宝石定期便で初めて宝石に触れた」とのコメントをよくいただきます。
宝石を手にするきっかけ作りに貢献できたこと、社員一同とても嬉しく感じます。
数々の美しい宝石を見ていると、それぞれ形が異なる事に気付くでしょう。
切り出した鉱物の形を整え、磨いて隠れていた美を最大限に引き出した形のことを、宝石業界では「カット」と呼びます。
様々なカッティング方法があり、どんなカットが向いているかは鉱物の種類によって、また一つ一つの石によって違います。
そんなカットの中で、今回は「ペアシェイプカット」についてお話します。
マーキスとオーバルの魅力を併せ持つ
ペアシェイプカットのペアとは洋ナシのことで、一方の先端はマーキスカットのように細く、反対はオーバルカットのようにふっくらとしたフォルムという、二つのカットの長所を合わせたようなカットです。また、しずくのようにも見えるということで「ドロップカット」とも呼ばれます。ブリリアントカットの変種の1つとなります。
大きく鮮明に宝石を見せるため、ペアシェイプカットは通常の縦と横の比は約1.5:1の十分な深さが必要です。
360度均一なファセット(平面)を持つ「ブリオレットカット」もペアシェイプの形です。
ナポレオン・ダイアモンド・ネックレス
1811年、皇帝ナポレオンは、長男のナポレオン フランソワ ジョゼフ シャルル(ナポレオンII世)誕生を祝って制作した「ナポレオン・ダイヤモンド・ネックレス」を、2番目の妻であるオーストリア・ハプスブルク家のマリア ルイーザ フランス皇后へ贈りました。
このダイアモンドネックレスは28のオールドマインカット(ブリリアントカットの原型)、9つのペアシェイプカットのフリンジ、10のブリオレットカットを含む、合計234個のダイヤモンドが使われていました。
惜しみなくダイアモンドを使用したこのネックレスは、当時の皇后の年間予算額に相当する価値だったと考えられています。
その後何回か所有者が変わり、現在ではワシントンDCの国立自然史博物館に展示されています。