廃棄宝石定期便をご利用くださるお客様から、「廃棄宝石定期便で初めて宝石に触れた」とのコメントをよくいただきます。
宝石を手にするきっかけ作りに貢献できたこと、スタッフ一同とても嬉しく感じます。
数々の美しい宝石を見ていると、それぞれ形が異なる事に気付くでしょう。
切り出した鉱物の形を整え、磨いて隠れていた美を最大限に引き出した形のことを、宝石業界では「カット」と呼びます。
宝石のカッティング方法は、大きく二つ。
研磨した大小の平面(ファセット)で創り出された「ファセット・カット」
ふっくらとした丸い山形に整えられた「カボション・カット」
二つに分けられたカッティング方法の中でも様々な種類があり、どんなカットが向いているかは鉱物の種類によって、また一つ一つの石によって違います。
そんなカットの中で、今回は「ラウンドブリリアントカット」についてお話します。
ダイヤモンドのためのカット
ラウンドブリリアントカットは、ダイヤモンドのために考え出されたカットです。
地球上で一番硬い石とされるダイヤモンドは、13世紀まではカットが出来ませんでした。
18世紀になってからブリリアントカットが発明されましたが、この時点では現代の形とは少し異なるものでした。1900年前後に蒸気だった動力が電気に切り替わり、ダイヤモンドを切断できるダイヤモンドソーが発明され、技師たちの研究と技によって美しい光の輝きを放つラウンドブリリアントカットが生み出されました。
さらに20世紀の終わりには、コンピューターとレーザーの使用によって目減りを劇的に減らしつつ正確な研磨が生み出されています。
現在ではダイヤモンド以外の宝石にもラウンドブリリアントカットは使用されており、屈折率や反射率を綿密に計算した光の煌めきは、その石の魅力を最大限に引き出していることを実感させてくれます。
コー・イ・ヌール・ダイヤモンド
世界最古のインド産ダイヤモンドと言われている、コー・イ・ヌール・ダイヤモンド。
このダイヤモンドはインドの歴史の中で、戦利品として征服者の手に納められてきました。
その名前は、ムガル帝国(現インド)の征服者モハメッドシャーのターバンに隠されていた石を手に入れた征服者ネーダが、石を見て「コイヌール(光の山)!」と叫んだ事が由来といわれています。
元は186カラットのムガールカットでしたが、ラウンドブリリアントカットで108.93カラットに再カットされ、現在は英国のロンドン塔に納められ、希望すれば誰でも見ることができます。