
「サファイア」と聞くと、真っ先に鮮やかな深い青色を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。でも実は、サファイアって青だけじゃないんです。

チップ・クラーク、スミソニアン博物館職員, Public domain, via Wikimedia Commons
鉱物としては「コランダム」というグループに属するのですが、そのうち赤(ルビー)以外の色はすべてサファイアと呼ばれます。ピンク、イエロー、グリーン、ラベンダー……実はとってもカラフルな宝石なんです。

そんな多彩なサファイアの世界で、今一際注目を集めているのが「パルティサファイア(Parti Sapphire)」です。

スタッフ
パーティサファイアとも呼びますね💎
見る角度……ではなく「1粒の中に2色以上」

パルティサファイアのいちばんの魅力は、1粒の石の中に2色以上のカラーがはっきりと同居しているところ。「パルティ(Parti)」はフランス語で「分かれた」という意味を持つ言葉です。
見る角度によって色が変わる石もありますが、パルティサファイアは違います。正面から見たときにも、ブルーとグリーン、あるいはイエローとブルーといった複数の色が、まるで絵の具を塗り分けたように石の中に存在しています。

スタッフ
どうやって生まれるの?
結晶が地球の奥深くで時間をかけて育つあいだに、地層の変化などに合わせて取り込まれる成分(鉄やチタンなど)のバランスが変わることで起こる現象です。言わば、地球の長い時間がそのまま刻まれた「地層の記録」のようなもの。

スタッフ
どこで採れるの?
有名なのはオーストラリア。1850年代のゴールドラッシュのときに金の採掘中に偶然見つかって以来、なんと100年以上も採掘が続けられています。他にもスリランカやマダガスカルなどで出会うことができます。
かつては「色がムラっぽい」とされていた過去も

by YippeeD
, licensed under CC BY-SA 4.0
今でこそファンが多い石ですが、実は長いあいだ、ちょっと不遇な扱いを受けていました。
理由はとてもシンプルで、「色が均一じゃないから」。
昔からの宝石の評価基準では、「澄み切ったムラのない一色」こそが最高の美しさとされていました。吸い込まれそうな青一色のサファイアが王道とされていたため、色が混ざっているパルティサファイアは「基準から外れた石」として、控えめな価格で取引されていた時代があったのです。

スタッフ
なんともったいない!
「不揃い」だからこそ愛される時代へ
そんな評価が、近頃ガラリと変わり始めています。
「完璧で均一な美しさ」よりも、「その石にしかない個性やストーリー」を大切にする人が増えてきたからです。
1粒ごとに色の混ざり方や境界線の入り方が全く異なるパルティサファイアは、「世界に二つと同じものが存在しない石」。まさに自分だけの特別な出会いを楽しめる宝石として、急速に人気が高まっています。
最近のジュエリートレンドとしても、海を思わせる青緑(ティールカラー)のニュアンスを持つ石として、ハイジュエリーブランドなどでも引っ張りだこです。

スタッフ
私だけのオンリーワン、いいですねえ♪
完璧さより、心惹かれる「自分だけの1粒」を
かつて欠点だとされていた「色の混ざり合い」は、いまや誰とも被らない最大の魅力になりました。
整った一色の美しさも素敵ですが、地球の気まぐれが生み出した不思議な色のハーモニーに袖を通すような感覚も、天然石ならではの面白さです。
もしどこかで見かけたら、ぜひ光にかざして、その石だけのグラデーションを覗き込んでみてくださいね。


