
昼間に見た石が、夜の電球の下ではまったく違う色に見える。
こんな現象を「カラーチェンジ」と呼びます。いちばん有名な石の名前をとって、「アレキサンドライト効果」とも呼ばれます。
シラーやスター、キャッツアイは、石の中の構造が光を反射したり干渉させたりして生まれる「光の模様」でした。カラーチェンジは少し違います。変わるのは、石の地色そのものです。

スタッフ
石の中で光が動くものもとても魅力的でしたね✨️
☀️色が変わる仕組み

宝石の色は、石がどの色の光を吸収し、どの色の光を通すかで決まります。
カラーチェンジを起こす石の多くは、クロムやバナジウムといった微量の元素を含んでいます。これらの元素が、黄色のあたりの光を強く吸収します。
すると、光が通り抜けられる「窓」が、青緑のあたりと赤のあたりの2か所にできます。
ここで光源が関わってきます。
太陽光は青や緑の成分を多く含み、白熱電球やキャンドルの光は赤の成分を多く含みます。
太陽光の下では青緑の窓を通った光が目立ち、石は青緑に。電球の下では赤の窓を通った光が目立ち、石は赤紫に見える。これがカラーチェンジです。
同じクロムでも、エメラルドでは緑、ルビーでは赤になります。アレキサンドライトはその中間、ちょうど緑と赤のどちらにも傾ける位置で光を吸収しています。だから光源ひとつで、どちらの色にも転ぶんです。
🌓アレキサンドライト
カラーチェンジの代表は、クリソベリルの一種、アレキサンドライトです。
太陽光で青緑、電球の光で赤紫。この変化がはっきりしているものほど、高く評価されます。
1830年代にロシアのウラル山脈で見つかり、のちの皇帝アレクサンドル2世にちなんで名づけられたと伝えられています。
なお、安価な「アレキサンドライト」として出回っているものの中には、人工的に作られたカラーチェンジサファイア(合成コランダム)も少なくありません。色は変わっても、別の石です。

スタッフ
色が変わると、楽しくて時間を忘れてしまいますね⏱️✨️
💡ほかにもある、色の変わる石


カラーチェンジガーネットには、アレキサンドライトに負けないほど大きく変わるものがあります。主にパイロープとスペサルティンの中間的な組成のガーネットで、青緑から赤紫へ変わる例が知られています。
スピネルやサファイアにも、カラーチェンジを示すものがあります。青みと紫みのあいだで色が移るものが多く、変化はガーネットより控えめなことがほとんどです。
フローライトにも、光源で青から紫へ変わるものがあります。アレキサンドライトほど劇的ではありませんが、比較的手に入りやすい石です。
💎多色性との違い



似た現象に、「多色性(プレオクロイズム)」があります。
多色性は、光源ではなく、石を見る「方向」を変えると色が変わる現象です。結晶の向きによって光の吸収のしかたが違うために起こります。
見分けるポイントは、何を変えたら色が変わったか。光源を変えて変わればカラーチェンジ、石の向きを変えて変われば多色性です。
アレキサンドライトは、実はこの両方を持っています。一方、ガーネットやスピネルは結晶の性質上、多色性を示しません。これらの石が見せる色の変化は、純粋なカラーチェンジです。

スタッフ
「光源を変えて変わればカラーチェンジ、石の向きを変えて変われば多色性」なるほどですね✍
🔦観察するときのコツ

比べるなら、太陽光(または昼光色の照明)と、白熱電球やキャンドルの光がわかりやすい組み合わせです。
LEDライトは、製品によって光の色みが大きく違います。「昼光色」と「電球色」のように、色温度の違う2つを用意すると比べやすくなります。
石の厚みやカットによっても見え方は変わります。同じ石でも、正面から見るか斜めから見るかで、色の印象が違うことがあります。

スタッフ
カラーチェンジは、特別な道具がなくても試せる現象です。窓際で一度見て、夜に電球の下でもう一度見る。それだけで違いがわかります。
アレキサンドライトほど劇的でなくても、ガーネットやスピネル、フローライトで、ふっと色みが動く石があります。
派手な変化だけが面白いわけではありません。どの光の下で、いちばんその石らしく見えるか。それを探すのも楽しみ方の一つです。
あなたの石は、昼と夜で同じ顔をしていますか?



