
丸く磨かれた石の表面に、光の筋が交わって、星のように浮かぶことがあります。
これが「スター効果」。専門的には「アステリズム(asterism)」と呼ばれ、ギリシャ語で「星」を意味する astēr が語源です。
前回のシラー効果に続いて、今回はこの「石の中の星」の正体を見ていきます。

スタッフ
光の角度で流れるあの星ですね✨️
星をつくっているのは「針」

スター効果の正体は、石の中にほぼ平行に並んだ、ごく細い針のような内包物です。
サファイアやルビーなどのコランダムでは、主にルチル(酸化チタン)の針が星をつくります。黒いスターサファイアでは、ヘマタイト(赤鉄鉱)の結晶が星をつくることもあります。スターダイオプサイドでは、磁鉄鉱の針がよく知られています。
光がこの針の並びに当たって反射すると、針の向きと直角に一本の光の筋が出ます。
筋が一本だけなら、それはキャッツアイ(シャトヤンシー)。針の並びが複数の方向にあると、筋が交わって星になります。
つまりスターは、キャッツアイがいくつも重なった姿なんです。
内包物は、ふつうは透明度を下げて、石の評価を下げる要因になります。
でも、針が細く、向きが揃っていて、星として浮かぶなら話は別。同じ内包物でも、星をつくるものは「欠点」ではなく、その石の見どころになります。

スタッフ
なるほど。キャッツアイの集合版がスターなのね!
4条・6条・12条
星の筋の数(条数)は、針が何方向に並んでいるかと、もとの結晶のかたちで決まります。

いちばん多いのは6条です。
サファイアやルビーでは、ルチルの針が60度ずつずれて3方向に並びます。方向ごとに一本ずつ筋が出るので、3本の筋が交わって6条の星になります。
ローズクォーツにも6条のスターがあります。ただ、輪郭はコランダムよりずっと柔らかめ。表面の反射で見るより、後ろから光を透かしたときに星が浮かぶものが多いのも特徴です。

4条は、針が2方向に並ぶときに出ます。
代表的なのがスターダイオプサイド。濃い緑からほぼ黒の地に、銀白色の4条の星が浮かびます。
面白いのは、この2本の筋が直角に交わらないこと。少し斜めに交わり、筋もわずかに波打ちます。2本の筋の鮮明さも揃わないことが多く、これがダイオプサイドの星を見分ける手がかりになっています。きっちりした十字ではなく、少しゆがんだ星。そこに結晶のかたちがそのまま表れています。

ガーネットにも4条のスターがあり、中には6条を見せるものもあります。
12条はかなり稀です。
6条の星をつくる針の組が、角度をずらしてもう一組入っていると、2つの星が重なって12条になります。黒いスターサファイアなどで、性質の違う2種類の内包物がそれぞれ星をつくり、重なって見える例が知られています。ただし、2つの星の鮮明さはそろわないことがほとんどです。


スタッフ
スター効果にも様々な種類があるんですね✨️
星を見つける光の当て方
部屋全体を照らすような光より、太陽光やペンライト、スマホのライトなど、一方向から来る光のほうが星ははっきり見えます。
石をゆっくり傾けると、星がドームの上をすーっと移動します。この動きも、スターの楽しいところです。
地色の濃いダイオプサイドは、暗い場所では筋が沈んで見えにくくなります。点のような光を当ててみると、星がぱっと浮かびます。
合成や処理もある
スターサファイアやスタールビーには、人工的に作られた合成石もあります。
また、もともと星の出ないコランダムに、加熱や表面の拡散処理で星を生じさせる方法もあります。
星がくっきりしすぎている、ドームの表面だけに星がある。そういった特徴がヒントになることもありますが、見た目だけで判断するのは難しく、天然かどうかは鑑別で確かめる領域です。
ちなみにインドでは、スターダイオプサイドが「ブラックスター」の名前で売られていることがあります。ただ、この呼び名は本来ブラックスターサファイアに使われるものです。「ブラックスター」とだけ呼ぶとサファイアと混同されやすいため、ほかの石には「ブラックスター・ダイオプサイド」のように鉱物名を添えるのがルールとされています。
お手入れの注意
スターサファイアやスタールビーは硬度9で、日常使いにも強い石です。
一方、スターダイオプサイドは硬度5.5〜6.5で、割れやすい方向(劈開)もあります。リングで毎日着けると、比較的早く表面の艶が落ちてしまいます。ペンダントやピアスなど、ぶつけにくいジュエリーのほうが安心です。落下や超音波洗浄も避けてください。
どの石でも、星はドームの表面に出ます。深い傷が入ると、筋が途切れてしまうので気をつけてください。

スタッフ
スターは、内包物が「欠点」から「見どころ」に変わる、わかりやすい例だと思います。
針が細く、向きが揃っていて、カットが軸を外していない。この条件が揃ったとき、光の筋が星になります。
正直、4条のダイオプサイドは、6条のサファイアと並べると地味に見えます。
でも、ライトを当てた瞬間、黒い地にゆがんだ星がふっと浮かぶ。あの瞬間はなかなかクセになりますね😀
条の数が多いほど良い、というわけではありません。その石の中に、針がどの向きで入っているのか。星は、それをそのまま見せてくれています⭐️
あなたの持っている石には、どんな星が隠れているでしょうか?🔍️

