
宝石の歴史を紐解くと、現代では使われなくなった少し不思議でロマンチックな呼び名に出会うことがあります。かつてヨーロッパで使われていた「オリエンタル・エメラルド」や「オリエンタル・アメシスト」という名前もそのひとつです。

スタッフ
東洋の神秘の奥深さを感じる名前ですね✨️
名前だけを聞くと特別な産地のエメラルドやアメシストのように思えますが、実はまったく別の石を指していました。
🔷「オリエンタル」の正体はカラフルなサファイア

「オリエンタル(東方の)」という言葉が冠されたこれらの宝石の正体は、実はすべてサファイア(コランダム:サファイア・ルビーの仲間)の色違いを指していました。



サファイアといえば深い青色を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実はとても色彩豊かな宝石です。同じ鉱物の中で「赤色」だけは特別にルビーと呼ばれ、それ以外の黄色や緑、紫などのカラーはすべてサファイアに分類されます。
📛なぜ別の宝石の名前で呼ばれていたのか
科学的な分析技術がなかった昔、宝石は主に「色」と「硬さ・輝き」で評価されていました。
サファイアはダイヤモンドに次ぐ高い硬度と強い輝きを持っています。そのため、一般的なエメラルドやアメシストよりも硬く丈夫な緑や紫の石が見つかった際、「東方からやってきた、より上質で美しい石」という敬意を込めて「オリエンタル・〜」と呼んで区別したのです。対して、本来のアメシスト(石英)を「オクシデンタル(西方の)・アメシスト」と呼ぶこともありました。
その後、鉱物学の進歩とともに誤解を防ぐため取引名は整理され、現在では「グリーンサファイア」「パープルサファイア」と正確な鉱物名で呼ばれるようになっています。

スタッフ
「オリエンタル・エメラルド」と聞いたら、緑色のサファイアではなく、エメラルドそのものを連想してしまいますよね💎
時代とともに名前や分類が変わっても、石そのものが放つ美しさは何百年経っても変わりません。昔の人々がその輝きや色合いにどんな魅力を感じていたのか、名前に込められた歴史を辿ってみるのも宝石の奥深い楽しみ方のひとつです。


