たくさんの色を持つ宝石。その色の仕組みはどうなっているのでしょう?
後編はちょっぴり科学的なお話。
宝石の本質の色を「自色(じしょく)」といいます。
マラカイト(孔雀石)でいうと自色は緑。必須成分である銅原子の電子の振る舞いからできています。言葉が難しい!
そしてこちらの説明がもっと難しくなってしまうのですが、「微量成分」と「結晶構造の欠陥」で発色することを「他色(たしょく)」と言います。
もとはみんな無色!?
まず微量成分による発色の説明として、宝石図鑑のサファイアの基本情報をご覧ください。。
サファイアの基本情報
名称 | サファイア |
鉱物種 | コランダム ←ここ |
硬度 | 9 |
産地 | タイ、ミャンマー、スリランカ |
鉱物種に、コランダムと書いてありますね。コランダムの主要化学成分は酸化アルミニウムなんですが、純粋なコランダムは無色なんです。
ところが、アルミニウム原子の一部が別の金属元素に置き換わると、その種類によってさまざまな色が発色するのです。
アルミニウム原子にクロムが入れば、赤。
アルミニウム原子に鉄とチタンがはいれば、青。
アルミニウム原子に鉄が入れば、黄色。
そういったことで鉱物種コランダムから、ルビー・サファイアといった宝石がうまれるのです!
コランダムと同様な仕組みで純粋なベリルは無色ですが、クロムや鉄などの置き換えによってエメラルドやアクアマリン・レッドベリルなどが生まれます。
次に結晶構造の欠陥について。
結晶構造の欠陥とは、簡潔に言うと「原子の規則的な並びのゆがみ」です。
この発色の典型なものはアメシスト。
あのきれいな紫は原子がきれいに並んでいたら出ない色なんですね!
現に結晶構造の乱れを加熱処理をして緩和させると、アメシストは紫から黄色に変わってしまいます。
これらの「発色」は、一粒の石の中に2色、3色と出ることも。
代表的なものはバイカラートルマリン。
結晶が作られる長い時の中で、クロムや鉄、バナジウムなどが時間差で取り込まれることで、一つの石の中にピンク/緑やアクアブルー/ピンクといった多様な色が生まれると考えられています。
【カラーチェンジ】
アレキサンドライト
光源の違いで見える色が変わる。
【蛍光色】
ルビー
紫外線を当てると発光する
【多色性(たしきせい】
トルマリン
見る向きによっていろが変化する
カラーチェンジ……光源の違いで見える色が変わる。例:アレキサンドライト
多色性(たしきせい)……見る向きによっていろが変化する。例:トルマリン・アンダリュサイト
蛍光色……紫外線を当てると発光する。例:ルビー
一言に色といっても、その成り立ちは地球の中で、たくさんの偶然と奇跡が折り重なって生まれたものなんですね。
これからも美しい宝石をたくさん見つけてみたいものですね!