
あなたの手元にあるルースやネックレスやリング。そのきらめきに、心惹かれる瞬間は誰しも経験するでしょう。しかし、その輝きの裏側に社会課題が潜んでいることを知っていますか?
例えば、ダイヤモンドの紛争鉱物問題や、金の違法採掘が引き起こす環境破壊。これらは遠い国の話ですが、私達が手にするルースやジュエリーがそれらに関わっている可能性があります。
宝石採掘が引き起こす深刻な社会課題
宝石の美しさを支える採掘過程は、とても過酷です。宝石産業は環境破壊と人権侵害の温床となっており、持続可能性の観点から国際的な批判が高まっています。
環境破壊

宝石採掘は、地球の生態系を脅かすことがあります。例えば、金や天然石の鉱山では、大量の化学物質が使用され、水質汚染や土壌侵食を引き起こします。 採掘活動による土壌侵食、温室効果ガスの排出、生物多様性の喪失、水の汚染が主な問題です。
また、森林破壊が進み、その土地固有の生態系の喪失を招いています。 アフリカや南米の小規模鉱山では、規制の緩さがこれを加速させます。
気候変動への影響も無視できません。こうした環境負荷は、私たちが日常的に触れるアクセサリーやルースの「隠れた問題」です。
人権侵害と労働問題
一方で、人権面での課題も深刻です。紛争ダイヤモンド(ブラッドダイヤモンド)と呼ばれる問題は、依然として解決していません。 アフリカのジンバブエやシエラレオネでは、ダイヤモンド採掘が内戦や搾取を支え、児童労働が横行しています。
子供たちは危険な坑道で長時間働き、健康被害や教育機会の喪失を強いられます。 さらに、強制移住や暴力、性的搾取が報告され、女性労働者の被害が特に目立ちます。 これらの問題は、透明性の低いサプライチェーンが原因で、消費者である私たちは知らずに支えてしまっている可能性があります。

主な社会課題
- 水資源の枯渇と汚染:採掘で河川が毒性物質で汚染され、飲料水不足を招く。
- コミュニティの強制移住:鉱山拡張で先住民が故郷を追われ、生活基盤を失う。
- 健康被害の蔓延:有害物質暴露による呼吸器疾患や皮膚がんの増加。
- 違法取引の横行:紛争資金源となり、国際的な人権侵害を助長。
- 気候変動への寄与:森林破壊がCO2排出を増大させ、グローバルな温暖化を加速。
これらの課題は、宝石産業の影であり、私たちは認識する必要があります。
エシカルジュエリーという概念



まず、エシカル(ethical)とは「倫理的・道徳的」という意味で、エシカルジュエリーとは、環境負荷を最小限に抑え、社会的公正を重視した宝石やアクセサリーの総称です。
具体的には、リサイクル素材の活用、フェアトレードの推進、透明なサプライチェーンの構築が特徴。採掘ゼロの廃棄宝石再利用や、認定を受けた鉱山からの調達が主流です。これにより、上記の環境破壊を防ぎ、人権侵害を排除します。例えば、紛争ダイヤモンドを避けるKPC(キンバリープロセス認定)を超えた倫理基準が採用され、労働者の公正な賃金確保が保証されます。
最近の市場予測では、グローバルジュエリー市場が約3700億ドル規模に達し、サステナブルセグメントの成長率は年平均5.4%を超える見込みです。
消費者意識の高まりから、多くのブランドが倫理基準を導入する流れが見られます。
今後数年間でEUなどの国際機関が鉱物取引の透明性を高める規制を強化し、倫理的調達を義務化する動きが加速しています。 この動きは単なるトレンドではなく、宝石の輝きを「持続可能なもの」に変えると思われます。
ただし、これまでの市場やサプライチェーンからの大きな変化なので価格の高騰や各地での反発など様々な摩擦が発生します。
differenceeとエシカルストーン
私達がお届けしている廃棄宝石定期便も、このようなエシカルストーンに近いものがありますが、何十年も眠っていた原石やルースを譲っていただくこともあるので実際に過去にどのような採掘が行われていたものなのかまでは知ることができません。