美しく輝く宝石なのに、指輪やネックレスにして身につけることができない……そんなちょっぴり危険でミステリアスな石があります。その名は「エカナイト」。理由はシンプルで、自ら放射線を出し続けているからです。

市場で見つかった、星を宿す謎の石 🌟

約0.1gのエカナイトの写真
ジェニ, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

物語の始まりは1953年、宝石の島スリランカ(当時のセイロン)。宝石学者のエカナヤケ氏が、首都コロンボのマーケットで変わった2つの小石を買い取りました 🛒

つるんとした丸み(カボションカット)に磨かれたその濃い緑色の石は、光を当てると十字の星(スター効果)がフワリと浮かび上がる不思議な石でした。詳しく分析してみると、人類がこれまでに発見したどの宝石のデータとも一致しないことが判明 🔬 その後、1961年にまったく新しい鉱物として認められ、発見者の名前にちなんでエカナイトと名付けられました 📜

なぜ放射線を放つのか? ☢️

エカナイトのカット結晶の写真
ジェニ, CC BY-SA 4.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0, via Wikimedia Commons

エカナイトの美しさの裏には、驚きの成分が隠れています。成分の約24%が「トリウム(Th)」という天然の放射性元素でできているのです。

そしてここからが、この石の一番不思議なところ。エカナイトは、自分自身が放つ放射線のダメージによって、数億年かけて自らの結晶構造を内側から破壊し続けています 💥

この現象を専門用語で「メタミクト化」と呼びます。外から見るとカチッとした硬い石に見えますが、内部の原子の並びはバラバラに崩れ、まるで天然ガラスのような状態(非晶質)に変化しているのです。地球上で誕生してからおよそ5億6千万年ものあいだ、自傷するように自分を壊しながら生き抜いてきました ⏳

つぶやき
スタッフ

なんて切ない運命を背負った石なんでしょう😢

コレクターが惹きつけられる理由 🧭

「放射線が出るなんて危なくないの?」と驚くかもしれませんが、正しく扱えば鑑賞用として楽しむことができます 🛡️

身につけるのはNG

肌に直接密着させるジュエリーには向きませんが、密閉ケースに入れて適切に距離を保ち、放射線量をチェックしておけば安全に保管できます 📦

通好みのレアストーン

市場に出回るカット石は1〜10カラットほど。1カラット数千円〜数万円程度で取引されますが、産出量がとても少なく、見つけること自体がかなり困難です 💎

産地

スリランカのほか、ミャンマー、カナダ、ロシアなどでもわずかに産出されます 🗺️

つぶやき
スタッフ

「ジュエリーとして飾る」というよりも、

「地球の放射線で自分を壊し続けている石」という事実を知ること自体が、エカナイトの魅力かもしれません。