アマゾナイト
鉱物種名:微斜長石
化学組成:KAlSi3O8
結 晶 系:三斜
図1:
アマゾナイト
山梨県甲府市黒平産、
カボション、長径7mm
アマゾナイトは青色や青緑色の宝石で、フェルスパー(長石)の宝石種のひとつです(図1)。色が鮮やかで濃く良質なものが宝飾品に用いられ、主な産地はブラジルやアメリカ、ロシアなどにあります。宝石質には至りませんが、日本でも数か所でアマゾナイトが産します。
長野県田立
日本で最も名高いアマゾナイト産地は木曽の南部にある田立(ただち)で、明治時代にはすでに知られていました。マグマが地下で固まってできた花崗岩(かこうがん)中に産します(図2,図3)。
山梨県黒平
甲府市北部の黒平(くろべら)は水晶やトパーズなどの産地として有名です。花崗岩中の空洞には、これらの鉱物の美しい結晶がみられ、淡青色のアマゾナイトも稀に産します(図6)。
滋賀県石子山
石子山(いしこやま)では、花崗岩のわずかな隙間にアマゾナイトの小さいながら整った愛らしい結晶が見られます(図7)。
アマゾナイトの色
アマゾナイトは、フェルスパー(長石)の一種であるマイクロクリン(鉱物種名:微斜長石)の青みがかったものの宝石名です。フェルスパーは地球上で最もありふれた鉱物といえますが、普通は無色や白色で宝石になるのはごく一部。アマゾナイトの青い発色は、鉛が含まれることが原因と考えられています。
石橋 隆
一般社団法人地球科学社会教育機構 理事長。
1977年長野県松本市生まれ。
京都にある石の博物館、益富地学会館の理事・主任研究員や大阪大学総合学術博物館の研究員を経て、2024年より現職。地球科学の普及や研究家への支援活動に従事するほか、鉱物や地質の研究を行う。
著書に『プロが教える鉱物・宝石のすべてがわかる本』(ナツメ社)、監修に『世界を魅了する美しい宝石図鑑』(創元社)などがある。
石橋先生の書籍情報
- 『宝石図鑑』キャリー・ホール著, 石橋隆監修(創元社,2023年)
- 『日本の国石「ひすい」―バラエティーに富んだ鉱物の国』日本鉱物科学会, 石橋隆分担執筆(成山堂書店,2019年)
- 『鉱物 ―石への探究がもたらす文明と文化の発展―』石橋隆は監修と執筆(大阪大学出版会,2019)
- 『史上最強カラー図解 プロが教える鉱物・宝石のすべてがわかる本』下林典正・石橋隆監修