愛知県にある歴史あるマンガン鉱山、田口鉱山。 かつて多くの美しい石を育んだこの地から、2025年、全く新しい鉱物が発見されました。その名は「堀石(ほりいし/Horiite)」。

新種の石が見つかるというのは、地球の長い歴史の断片を私たちが初めて目にする、とても奇跡的な出来事です。

鉱物愛好家たちの「宝物」がつないだ発見

この発見の背景には、ある素敵なエピソードがあります。 実は、研究のきっかけとなったのは、アマチュアの鉱物研究家の方々が長年大切に保管していた標本でした。

見た目がその産地でよく見られる「ヘイトマン石」という別の石にそっくりだったため、ずっと見過ごされていた可能性があったのです。「もしかしたら……」という探究心と、標本を大切に持っていた情熱が、科学的な大発見へとつながりました。

私たちの手元にある石も、もしかしたらまだ誰も知らない秘密を隠し持っているのかもしれない。そう思うと、なんだかワクワクしてきませんか?

堀石って、どんな石?

堀石は、鮮やかなオレンジ色をした微細な結晶として、バラ輝石などの塊の中にひっそりと息づいています。

名前の由来

日本の鉱物学に多大な貢献をされ、『楽しい鉱物図鑑』などの著者としても知られる堀秀道博士にちなんで名付けられました。命名は逝去後となりましたが、博士が愛した鉱物の世界に、またひとつ新しい名前が刻まれたのです。

成分の不思議

バリウム、マンガン、チタンなど、さまざまな元素が複雑に組み合わさってできています。似た成分の石はあっても、その「並び方(結晶構造)」が全く異なる、唯一無二の存在であることが証明されました。

オレンジ色(Mindat.org記載、詳細は論文公開後確定)
化学組成Ba₂Mn₂Mn₄Ti₂(Si₂O₇)₂(PO₄)₂O₂(OH)₂
バリウム、マンガン、チタン、ケイ素、リン、酸素、水素
イメージ画像:バラ輝石(ロードナイト)堀石ではありません

歴史ある「田口鉱山」の深み

田口鉱山は、世界中の愛好家が知る「パイロクスマンガン石」の産地としても有名です。
今回の発見は、この土地でどのようにして多彩な元素が集まり、美しい結晶へと変わっていったのかを教えてくれる貴重な手がかりとなります。

つぶやき
スタッフ

著名なマンガン鉱山から、長年標本を大切に保管していたアマチュア研究家の方々が新種発見の鍵を握っていました。手元にあるコレクションから新しい発見があると思うとワクワクしますね!

色はまだ「仮」の情報

現在のデータベース(Mindat.org)ではオレンジ色とされていますが、正式な論文が公開されることで、より詳しい特徴が明らかになる予定です。

Warning

田口鉱山は現在、立入禁止の場所や自然保護区域が多く含まれています。無断での採取は法律で禁じられていますので、大切に見守っていきましょう。

田口鉱山HP:

https://trekgeo.net/m/m/MnAM/taguchiAICHI.html

新鉱物・堀石(模式標本)
電子顕微鏡室/Electron Microscope Section東京大学物性研究所

https://denken.issp.u-tokyo.ac.jp/?page_id=20#a33

MAP

田口鉱山(たぐちこうざん)

愛知県(あいちけん)北設楽郡(きたしたらぐん)設楽町(したらちょう)八橋