
「見える…見えます…あなたの運命が…」
こういったセリフで「占い師」というと、水晶玉に手をかざしている人物を想像しませんか?
あれは実際、何を見ているのでしょうか。今回はそんなお話をさせていただきます。
古くから水晶と占いは深い関係を持っています。
人類が誕生する遥か昔より地球上に存在していた鉱石、特に水晶は、人類と宇宙、また人類と神々とをつなぐと信じられ、神官や呪術師によって祈祷や予言・未来予知など、古今東西あらゆる地域で使用されていました。
各地で使用されていた水晶
古代エジプト…神官や巫女が未来を予知
古代ギリシャ…迫りくる病気や危険を判断
ヨーロッパ・アジア・アフリカ…予言や占い
オーストラリア・マレー半島…呪術師が病の原因を占い、祈祷
みなさんのイメージする水晶玉を見て占う方法が定着したのは1500年代。主にヨーロッパで流行りました。
水晶に集中して凝視し続けると一種の暗示作用がおこり、内側が一瞬曇り陰影が現れます。その視覚イメージを読み取り、吉凶などを判断します。この方法はクリスタルゲージングといいます。
見えないものを見ようとして覗き込むわけですから、占い師の感性や体質によって「視える」ものはさまざま。その能力は中世では「悪魔の仕業」と非難されることもあったとか。

クリスタルゲージング

水晶を使うクリスタルゲージングは、水面を見つめて表れる模様で吉凶を占う「水占い(スクライング)」から派生した占い方法です。水占いも同様の占い方法ですが、水だけでなく金属や、落としたインク表面でも鏡面であれば占いは可能なのだとか。
水晶は氷の化石と思われていた時代もあり、かつての日本では水の精霊が宿るとして、水晶ではなく「水精」と呼ばれた時代もあったので、水占いの派生というのも納得できますね。
古代日本でも水占いは行っていましたが、水晶占いの記録は少ないようです。
けれども『日本書紀』に興味深い内容が。
時は・弥生時代後期、仲哀2年(193年)のこと。神功皇后が討伐に向かった仲哀天皇と落ち合う際、現在の山口県の長門にて、海中にあった水晶・如意珠(にょいのたま)を見つけました。この如意珠には剣の影が映し出されていました。この珠が手に入ってから、勝ち戦がつづいたのだとか。
珠に見えた剣の影は、まさにその後の運命を変えた予言。
この珠は剣珠(つるぎのたま)の名で、兵庫県の広田神社の末社南宮神社の御神体として奉祀されているそうです。
みなさんも水晶玉を覗いたら、未来のヒントが見えるかも?
