地球上に数ある宝石・鉱物の中で頂点に立つ「ダイヤモンド」。

宝石好きなら大粒のダイヤモンドに憧れますが、値段が高くて躊躇しますよね。

けれどもラボグロウンダイヤモンドによって、その常識が変わるかもしれません。

【ラボグロウンダイヤモンド】とは

直訳で研究所(ラボ)で育つ(グロウン)ダイヤモンドは、その名の通りラボで作られた人工ダイヤモンドを意味します。

以前は「人工ダイヤモンド=偽物」のイメージでしたが、ラボグロウンダイヤモンドは化学組成・結晶構造・硬度などが天然ダイヤモンドと完全に同一に作られており、GIA(米国宝石学会)やIGI(国際宝石学会)による鑑定書も発行されます。

ラボグロウンダイヤモンドは天然ダイヤモンドと同一ですが、ひとつだけ大きな違いが。

それはラボグロウンダイヤモンドは天然ダイヤモンドのおよそ1/3程度の価格ということ。

成分的には全く同じってどうやって作られるの? 

そんな疑問を、ふたつのダイヤモンドをそれぞれ比較しながらご説明します!

天然ダイヤモンド・ラボグロウンダイヤモンドができるまで

天然ダイヤモンド

天然ダイヤモンドは、およそ30億年前に地球の内部のマントルで作られたものだといいます。

マントル内でできたダイヤモンドは、地球変動によって高温高圧のマグマと共に、短時間で一気に地表近くまで上がってきます。この時のマグマの通り道は(キンバ―ライト)と呼ばれます。

キンバ―ライトイメージ

キンバ―ライトはロシア・カナダ・アフリカ大陸など、ごく限られた地域のみ。

そして地表近くまで上がってくるとは言いましたが、それでも人類が天然ダイヤモンドを得るためには、地表を4km掘り下げなければなりません。

ウダーチヌイの露天掘りダイヤモンド鉱山、ウダーチナヤ・パイプ
Stepanovas (Stapanov Alexander). Timestamp at the bottom right was removed by Michiel Sikma in 2006., CC BY-SA 3.0 http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/, ウィキメディア・コモンズ経由

ラボグロウンダイヤモンド

自然のダイヤモンドは数十億年の歳月をかけて生成されますが、ラボグロウンダイヤモンドは1週間~1か月以内という短期間で生成します。

ラボグロウンダイヤモンドの製造方法は主にふたつ。

高圧高温度法(HPHT)

天然のダイヤモンドが形成される環境をラボ内で再現する方法。

地球の深部・マントル同様の高温1300~1600°Cと高圧5~6GPaを再現してダイヤモンドを生成します。

ちなみに5~6GPaの高圧は、GIA(米国宝石学会)の説明では「旅客機を指先に乗せた時とほぼ相当合の圧力」だそう。指先、一瞬で消えますね……(^Д^;)

高圧高温法により合成し、様々な色を呈したダイヤモンド
Materialscientist (トーク)。以降の編集はMaterialscientistが行いました。, パブリックドメイン, via Wikimedia Commons

化学気相蒸着法 (CVD)

適度な温度(700°C~1300°C)と低圧でダイヤモンドを作る方法。

真空チャンバー(空間)内に炭化水素などの有機化合物を、メタンガスなどの気体で炭素と水素の原子レベルに分解。炭素原子をダイヤモンドの種となる結晶に吸着させて、四角い板状のダイヤモンドの結晶をつくって形成していきます。

CVD法により合成し、宝石カットを施した無色透明のダイヤモンド。
Steve Jurvetson, CC BY 2.0 https://creativecommons.org/licenses/by/2.0, via Wikimedia Commons