
言葉の「響き」に恋した人々のこだわり
前の記事で、ルーン文字が時代や地域によって3つの道に分かれたお話をしました。 今回スポットを当てるのは、その中でももっとも「欲張りで、勉強熱心」な進化を遂げた、アングロサクソン・ルーン(フソルク)です。
基本のゲルマン共通ルーンが24文字だったのに対し、彼らは最終的に33文字までその数を増やしました。一体なぜ、彼らはわざわざ覚えるのが大変な「文字の追加」という道を選んだのでしょうか?一緒に掘り下げてみましょう👀

スタッフ
音が増えたのがアングロサクソンね!✍
海を渡り、新しい「音」に出会う
5世紀頃、海を渡ってブリテン島(現在のイギリス)に降り立った人々。彼らは自分たちのルーン文字を携えていましたが、そこでひとつの壁にぶつかったそうです🚣🏝️
「自分たちが今しゃべっているこの言葉、今の24文字じゃ書き表せないぞ……?」
新しい土地、新しい生活、そして変化していく言葉。彼らが話していた「古英語」には、元々のルーン文字には存在しない繊細な発音(音の響き)がたくさん含まれていました。
ここで「大体でいいや」と流さなかったのが、彼らの面白いところです。

「もっと正確に、もっと美しく」という情熱
彼らは、足りない音を補うために、新しいルーンを次々と生み出していきました。
これらは、微妙に異なる母音の響きを区別するために作られました。
この進化からは、当時の人々のこんな気質が透けて見えるようです。 「大切な言葉や詩を、一音たりとも漏らさずに、正しく後世に残したい」
便利さよりも、表現の豊かさを選んだ。そんなアングロサクソンたちの、少し生真面目な「言葉への愛」が、この33文字というボリュームには詰まっている気がします。

アングロサクソンルーン文字一覧表

魔法の道具から、記憶の記録へ

大英博物館, Public domain, via Wikimedia Commons
アングロサクソン・ルーンは、占いなどの神秘的な使われ方以上に、詩(ルーン詩)や記念碑として「読み物」の中に多く残されています。
「この美しい響きを、そのまま形にしたい」 そんな願いから生まれた33文字のルーンは、いわば当時の人々の「こだわり抜いたプレイリスト」のようなものかもしれません。
一つひとつの文字が増えるたびに、彼らの世界の色が少しずつ濃くなっていった……。そう考えると、文字数の多さも、なんだか愛おしく感じられませんか?






