宝石の輝きにはいくつかの種類がありますが、今回は虹を封じ込めたような輝きの「イリデッセンス」について。

イリデッセンスとは

イリデッセンス(Iridescence)は鉱石に光が当たることにより、虹色に輝く光学現象のことをいいます。

イリデッセンスは、光や観察する角度によって虹色が変化するという特徴があり、虹色に浮かぶ色は、鉱石自体の色ではなく、光によって生まれる輝きです。

イリデッセンスはプレイオブカラ―(遊色効果)ともいいます。

イリデッセンスの名前の由来は、ギリシャ神話の虹の女神「イリス(Iris)」からきています。

アンモライト

虹色の輝きが生まれる条件と宝石

薄膜の干渉

薄い膜状結晶が何層も重なってできた鉱石に表れるイリデッセンス。

重なり合う層の間で反射した光の干渉(特定の波長の光が強め合ったり弱め合ったりすること)でイリデッセンスが生じます。この場合、膜の厚さは可視光の波長程度(数百ナノメートル)であることが重要です。

薄膜の干渉でイリデッセンスが表れる石

  • アンモライト
  • イリデッセンスフローライト
  • 真珠(真珠のイリデッセンスはオリエント効果・テリなどと呼ばれます)

微細なヒビ(クラック)

結晶内部に生じた微細なヒビ(クラック)がプリズムのように働き、光を分散させることでイリデッセンスが生じます。

クラックでイリデッセンスが表れる石

  • レインボークォーツ
  • ファイアアゲート

結晶成長時の層構造

化学成分の異なる層が周期的に重なって形成された結晶に光の干渉が起こったことで。虹色のイリデッセンスが表れます。

結晶成長の層構造でイリデッセンスが表れる石

  • レインボーガーネット
  • ヌーマイト
  • ラブラドライト(金属光沢に似たイリデッセンスはラブラドレッセンスといいます)
  • ムーンストーン(青みがかったシルキーな輝きをムーンストーン効果、またはシーン・シラーといいます)

珪酸粒子の配列

規則的に配列した珪酸(シリカ)粒子に光が当たった時の干渉によってイリデッセンスが生じます。

珪酸粒子の配列でイリデッセンスが表れる石

  • プレシャスオパール(プレシャスオパールのイリデッセンスは蛋白光(オパレッセンス)といいます)

イリデッセンスは同じ種類の石でも表れ方や輝きに個性があり、同じものはひとつもありません。ぜひあなただけのオンリーワンのイリデッセンスの輝きを持つ石を探してみてくださいね。