
宝石を美しく魅せるカットは石の特性を活かし石そのものが主役となります。けれどもカメオの場合は石とカットの両方が主役となる芸術作品です。
カメオ(Cameo)とは
石の表面に立体的にモチーフを彫る「浮き彫り」の技法を施したものをいいます。
浮彫のカメオとは反対にモチーフが沈む形に彫ったものは「インタリオ(Intaglio)」と呼ばれますが、まとめてカメオと呼ばれることもあります。コントラストのはっきりとした層になっているアゲートやシェルが多く使用され、濃い色の部分を背景にすることで彫刻のモチーフがより華やかに際立ちます。

カメオに使用される素材
ストーン・カメオ
アゲートなどの石を使用したものをストーン・カメオと呼びます。
ストーンカメオはアゲートが一番ポピュラーですが、そのほかではカルセドニー・アメシストといったクォーツ類、トルコ石、コーラル(珊瑚)、エメラルド、コモンオパール、サファイア、ラピスラズリ、ジェット(木の化石・黒色)、ヘマタイト、アイボリー(象牙)など、様々な素材で彫られています。
アゲートが多く選ばれる理由は、浮き彫りの技法に陰影のはっきりとした縞模様が、モチーフと背景の配色にはっきりとした差が出るため、モチーフがより美しく表現できるからです。アゲートは褐色と白の縞模様の「サードニクス」、黒と白の縞模様の「オニキス」、赤茶と白の縞模様の「カーネリアン」、水色と白の縞模様の「ブルーアゲート」などが使用されます。

メトロポリタン美術館所蔵サルドニクス製カメオ(Bona Sforza)
イタリアのルネサンス彫刻家カラリオ作とされる、ポーランド女王ボナ・スフォルツァの肖像。金銀装飾を施した豪華なサルドニクス・アゲート製。
「ボナ・スフォルツァ肖像カメオ」(Giovanni Jacopo Caraglio作、ルネサンス期、サードニクス・アゲート)、The Met Museum 所蔵(Public Domain)
シェル・カメオ
貝殻を使用したものを「シェル・カメオ」といいます。使用される貝はいくつかあり、アゲートのように色が層になっています。
シェルカメオの90%以上はイタリアで生産され、イタリア南部の港町「トッレ・デル・グレコ」は聖地と呼ばれています。
サードニクス(サルドニクス)
サルドニア貝・カブト貝と呼ばれる貝の仲間。
アゲートのサードニクスと同じように赤褐色と白の層があります。
カリブ海周辺に生息するサザエに似た巻貝で、表面はごつごつとした凹凸があり、ラグビーボールほどの大きな貝です。
コルネリアン
コルニオーラ貝・マンボウ(万宝)貝と呼ばれる貝の種類。
こちらも大型の巻貝ですが、サードニクスよりはやや小ぶりの貝です。生息地は熱帯太平洋からインド洋までと広範囲に生息しており、日本の南西諸島近海にも生息していますが日本近海ではそれほど大きな貝に育たないようです。
こちらもアゲートのカーネリアンに近い色合いで白とオレンジ色の層を持ちます。

Luigi Saulini作「Cupid with a Dog」(The Met Museum 所蔵)
素材:シェル(shell)・金枠
制作:イタリア(ローマ)、1860–70年頃
Luigi Saulini作(19世紀ローマ)The Met Museum 所蔵(Public Domain)
カメオの楽しみ方
女性にお薦めアクセサリー
- ブローチ
- ペンダントトップ
- ピアス・イヤリング
- 着物の帯どめ
- 指輪
男性にお薦めのアクセサリー
- ネクタイピン
- ループタイ
- ラペルピン(スーツの襟に付けるピン)
- 根付
- 指輪
differenceeでもカメオ取り扱っております
