

コーラル(サンゴ)
鉱物種名:主に霰石
化学組成:CaCO₃
結 晶 系:直方
図1:赤のコーラル
沖縄県宮古市宮古島近海産、球形研磨
径約8mm
コーラル(サンゴ)は生物起源の宝石材です。赤や白、桃色のものなどがあり、東洋では古くから血赤(オックスレッド)とよばれる鮮やかな赤が好まれました(図1)。赤の色合いが淡くなると「ボケ」といわれ、桃色のものは「本ボケ」ともよばれます。古くから地中海が主要産地でしたが、近世になって日本近海で良質なコーラルが採取されるようになりました。高知県沖や小笠原近海が有名産地ですが、ここでは沖縄県宮古島のコーラルを紹介します。

宮古島近海産、上里さんご加工店蔵
左右約30cm
宝石材コーラルの正体
「サンゴポリプ」という生物は刺胞(しほう)動物の一種で、骨格が炭酸カルシウム(アラゴナイト:霰石)でできています。サンゴポリプは集合して生活する場所をつくるために炭酸カルシウムを分泌します。これが枝状に成長したものが宝石としてのコーラルの正体です(図2,図3)。サンゴといえば温かく浅い海にサンゴ礁を造る白色の造礁サンゴが思い浮かびますが、宝石になるサンゴはそれとは別であり「貴重サンゴ」とよばれます。貴重サンゴは、水深が200mを超える陽光が届かない深海で育ちます。

宮古島近海産、長さ3cm
沖縄県宮古島周辺のコーラル


宮古島は主に隆起したサンゴ礁の石灰岩などからなる比較的平坦な島です(図4,図5)。周囲にはサンゴ礁が広がりますが、島を少し離れると水深が急に増して水深2000mを超えます。島から深海に至る海底斜面で1960年頃に豊富な貴重サンゴの漁場がみつかり、上質なコーラルが得られ世界でも最大級のコーラル産地となりました。磨かれることによって鮮やかな色と優れたテリを発します(図6)。現在はサンゴ漁は行われておらず、宮古島のコーラルは貴重といえます。

碧玉の緑色

緑の発色は、サンスクリット語で「緑の石」という意味の名をもつ「セラドナイト」という層状鉱物の微細な結晶が多く含まれていることが原因です。

石橋 隆
一般社団法人地球科学社会教育機構 理事長。
1977年長野県松本市生まれ。
京都にある石の博物館、益富地学会館の理事・主任研究員や大阪大学総合学術博物館の研究員を経て、2024年より現職。地球科学の普及や研究家への支援活動に従事するほか、鉱物や地質の研究を行う。
著書に『プロが教える鉱物・宝石のすべてがわかる本』(ナツメ社)、監修に『世界を魅了する美しい宝石図鑑』(創元社)などがある。
石橋先生の書籍情報
- 『宝石図鑑』キャリー・ホール著, 石橋隆監修(創元社,2023年)
- 『日本の国石「ひすい」―バラエティーに富んだ鉱物の国』日本鉱物科学会, 石橋隆分担執筆(成山堂書店,2019年)
- 『鉱物 ―石への探究がもたらす文明と文化の発展―』石橋隆は監修と執筆(大阪大学出版会,2019)
- 『史上最強カラー図解 プロが教える鉱物・宝石のすべてがわかる本』下林典正・石橋隆監修