1537年かつて南米を侵略中のスペイン軍は、現地インディオと壮絶な戦いののち、コロンビアのエメラルド鉱山を獲得しました。エメラルドはスペイン軍によってムガール帝国(現インド)やオスマン帝国(現トルコ・ギリシャ)にわたり、高値で取引されることに。
帝国の支配者たちには、エメラルドを光にかざした時のインクルージョンが、まるで草木の生い茂った中庭のように見えました。
そしてエメラルドは帝国の支配者たちに、こう呼ばれました。
――天国の庭が見える石――と。

たくさんの石に魅了されて色々と調べていくと、必ず出てくる言葉があります。
それは「インクルージョン」。
インクルージョンとは、宝石に含まれている様々な内包物のことを指します。
結晶の透明度を重視した場合には、インクルージョンが「キズ」とみなされたり、「輝きの邪魔をする」など、負の要素となってしまうこともあります。
ですが、逆にインクルージョンがある事によって、石の価値が倍増されることも多々あります。

今回はそんな「インクルージョン」について、お話しします!

インクルージョンで産地が分かる!?

地球上から採れるほぼ全ての石に、インクルージョンは入っていると言っても過言ではありません。
鉱物は長い長い年月をかけ、地球の地下深くでゆっくり生成されてきました。その過程で、別の鉱物を包み込んでしまったり、気泡ができたり、強い圧力や熱によって破裂したりして、多種多様なインクルージョンが出来上がります。
なのでインクルージョンは言葉通り「自然現象」であり、それがあることは天然石の証とも言えます。

そんなインクルージョンの大きさは、石によってさまざま。
肉眼ではっきり確認出来る大きなものから、顕微鏡でやっと見える微細なものまで。

スピルバーグ監督の映画「ジュラシック・パーク」を見たことがありますか?映画は琥珀(アンバー)に閉じ込められた蚊の血液を採取した事から、物語が発展しますが、あの琥珀の中の蚊も、インクルージョンです。

映画では琥珀の中の蚊をいつの時代のものか調べてますが、実際に石のインクルージョンを調べることで、その石の育った環境や時代、どこで採れたものなのかを知ることができるのです!

そんな情報たっぷりのインクルージョンには、いくつかの種類があります。
その種類を知ることで、お手元の宝石を更に知る事が出来ますし、お手入れ方法のヒントにもなります。
お次はインクルージョンの種類を語ります。
続きは【インクルージョンを楽しもう2】で!