今回の宝石業界の七つ道具は「ピンセット」!
普段は使わないけれど、なぜか家庭に一本はあるピンセット。
宝石専用のピンセットというと、掴むのはもちろん宝石。
何が凄いのか、ご説明致しましょう!
ここが凄い① 先端部の細さ
宝石用のピンセットは、針のように先端が鋭く尖っているものから、何ミリもある太いタイプまで様々。
特に特定の用途がなく、はじめて宝石用のピンセットを求める場合は、幅が3㎜程度、もしくはそれ以上ある方が使いやすいでしょう。
ただし、顕微鏡でダイアモンドを観察する場合には、先端は針のように細くなければいけません。なぜなら側面から石を挟んだ場合、3㎜幅のピンセットではピンセットの影に石が隠れてしまうからです。
ここが凄い② 滑り止めの溝
宝石用ピンセットの内側には、細かな碁盤状の溝がついていたり、紙ヤスリのような凹凸が施されています。これは石が滑り落ちないため。
溝が縦(長さ方向)に一本だけ入っている製品もあります。
どの様な滑り止めのピンセットにするかは、それぞれの好みになります。
けれど、細身で尖っていて、先端部に碁盤状の溝が刻まれている場合には、ピンセットの幅方向の中央に溝があるか確認することが重要。
碁盤の目のへこみ部分が真ん中に位置していると、石をバランス良く持つのが難しくなり、使いにくいからです。
買ってから使いにくいと思った時は、金属のヤスリで内側を削って使いましょう。
こだわりの 色
宝石用ピンセットには、シルバーや黒があります。黒は映り込み(うつりこみ:宝石に反射したピンセットの像)が少ないのが長所ですが、長く使う間に塗料が落ちることがあります。
またダイアモンドを扱う時には、石に塗料が付着しますから、黒よりシルバーがおすすめです。
こだわりの 素材
一般的にはステンレスが多いですが、チタン製もあります。
チタン製は柔軟性が高い為、石を掴んだ感覚がより鋭敏に伝わるので好む人は多いです。
チタン製はかなり軽いので、ステンレスに慣れた方は最初軽すぎて戸惑うでしょう。
ここが凄い③ 種類によって使い分け
- 真珠用……先端が皿状に丸い
- 宝飾品用……メタルを傷つけぬよう、ゴムで先端が覆われている(differenceeスタッフ愛用中!)
- ロック式……掴んだ状態でピンセットの開き加減を固定できる
- ルーペ一体型……ルーペとピンセットの距離を調整し固定出来るので、焦点をあてた状態で他者に見せられる
- 先端がくの字に曲がったもの……宝飾品加工や時計修理に用いる場合がある
- 固定式……加工中の宝飾品を掴んだまま、台に固定できる。バーナーを使うとき使用する
番外編:困りものピンセット
滑り止めを目的に、先端部内側にダイアモンドやコランダムの微粉を塗布したピンセットがあります。鉱物の中で高い硬度を持つダイアモンド。粉になっても、性質は変わりません。これで宝石を保持すれば、つかんだ宝石に傷がついてしまうので困りものです。
ピンセットと言っても多種多様でしたね。
その全てがより良い作業をするためで、宝石職人の仕事に対する情熱を感じました!